第一話 牙

4.交


ギッギッギッ 侍が腰を突き入れるに従い虎女の秘所は万力のごとき力で侍を締め上げ、亀頭が悲鳴をあげる。 

グッ…ググッ… 不気味に唸る虎娘。 見事な虎島の背が歪んだ様に見えた。

うっ…ううっ… 侍の喉からうめき声が漏れた。 いかなる不思議か、男根にかかる痛みが薄らぎ、それでいて虎女を

はっきりと感じる。

ばねの様な肉襞が剛直をがっしりと抱え込み、括れをひしひしと叩くのが判る。

うう…うううっ! 侍は腰を細かく前後に振り、虎女の逞しい襞を一つ下がっては二つ乗り越えして進んでいく。

グゥ…ゴッゴッゴッ… 虎女の唸りが変わり、尻尾がゆらりと揺れて侍の首に巻きついた。 逆立った毛が耳を、首筋

を撫で回す。

あううっ… 思わぬ攻撃に声が上ずり、腰の力が抜けかけた。 途端に…

ギチッ… ぐうっ! 男根が秘所に挟みつぶされそうになり、慌てて力を込めなおす。 そして尻尾の愛撫に耐えなが

ら虎娘の奥を目指す。


ピシッ… ビシッ… 襞の一つ一つが荒っぽく亀頭を弾く。 その熱い衝撃は男根の芯を震えさせ、ふぐりが次第に熱く

たぎって来る。

ゴッゴッゴッ…ゴロゴロゴロゴロ… 喉を鳴らし始めた虎娘。 今度は尻が細かく震えだした。

うむっ!! くっ…くくくっ… 尻尾同様、尻から背中にかけての毛も逆立ち、なんとザワザワと波打ちだした。 下腹

に思わぬ攻めを受け、侍が一瞬動きを止める。

すると尻尾がくいっと侍を引っ張った。 彼は体勢を崩し虎娘の背中に覆いかぶさってしまう。

うううっ!! 胸板を擦りあげる毛皮の愛撫、その下から巻き起こる獣の匂い。 心の臓が早鐘のごとくうち鳴らされ、

頭の中が熱く燃え上がる。

ビクッ! ビクビクビクッ! 熱くたぎる血の流れが、男根をこれ以上できぬと言う所まで固くする。


侍は上体を揺り起こし。渾身の力を込めて虎娘を突く!

ヂッヂッヂッ ザラッ! 一瞬目の前が白くなった。 虎娘の奥は猫の舌の様にザラザラしており、それが硬くなった亀

頭を、鈴口を、そしてエラを取り巻いて一気に舐め上げた。

袋が縮み上がり、熱い迸を送り出そうとする。 しかし、虎娘の秘所は陰茎を喰い締めてそれを許さない。 ここを通過

するには『迸り』では足りない。 怒涛の勢いが必要だ。

う…うぉぉぉぉぉっ!! 侍が吼えた、叩きつける勢いで腰を振る、振る、振る!

亀頭が虎娘の奥で刷り上げられ、膣道で激しく鞭打たれる。 その度に侍は絶頂に達する、その都度熱い物が袋に

込められ、打ち出されようとしては跳ね返される。

縮み上がっていた陰嚢が、膨れ上がって破裂しそうな気がする。 凄まじい快感に体が燃え上がりそうだ。 それでも

腰の動きが止まらない。

命の全てを燃やし尽くしてでも、虎娘の中に己の情けを届けずに入られない。

ダンダンダン!! 侍の腰と虎娘の尻が激しくぶつかる音が小屋の外まで響きわたる。


ビクリッ!!大きく震えて二人…いや二匹が石となる。 侍がついに虎娘の堅い守りを突き通す時が来た。

最初は糸のように細く…そして一気に! 

ダン!! 音がするほどの勢いで侍の熱い物が虎娘の奥底を叩いた。

ダンダンダン!! 激しく虎娘を叩く侍の熱い情熱。 虎娘は尻尾を立て、激しく身を震わせてそれを受け止める。

ギッギギッ…ウー…ウー… 虎娘の爪が床を深く抉る。 喉から漏れる唸りが彼女の喜びの深さを伺わせる。

はぅはぅはぅ… フッフッフッ… 深く繋がったままの姿勢で、荒々しい交わりの余韻に身を委ねる虎娘と侍… やがて

一人と一匹は方なったまま床に崩れ落ちた。


ふぅ…ふぅ…ふぅ… 侍は喘ぎながらぼんやりと囲炉裏の炎を見た。 

薪が殆ど燃えてしまい、随分と小さくなってしまった。 先程までの情欲の激しさに比べればなんと弱々しい… まるで

自分の命の…

ずっ… 彼の体の下で虎娘が身じろいだ。

彼は気だるげに起き上がり、虎娘に手を貸そうとした。 が、彼女は侍の手を借りる事無く一挙動で起き上がった。

さっきまでの乱れようが嘘のように無表情…いや、ひょっとするとずっとそうだったのかも知れない。


(…)侍は囲炉裏に薪をくべながら、虎娘は満足したのかだろうかなどと妙な事を考えていた。

「お前…いや…」虎娘が言葉を濁した。

侍はそれを奇妙に思う。 虎娘らしくない。

(いや…この姿と力強さから来る思い込みか…)

侍の寝込みを襲うこともできた。 いきなり押し倒してきても不思議はなかった。 なのに正面から手土産を持って来

た。

(大胆…違う。 不器用…それでいて情が深い)

そう思うと一見無表情に見える青い顔に、微妙な感情が浮かんでいるような気がする。 もっともこれこそ思い込みか

もしれないが。

ふわっ… 微かな風が吹き付けて、ほんのりと獣の匂いを運ぶ。

ふっ… 侍は微かに笑った。 

(物足りぬか…しかし) 先程の交わりをもう一度となると…比喩でなしに命が危ない。

(ふむ…力が足りぬならば、技を凝らすしかあるまい)

侍はいざって虎娘に寄り、型に手を伸ばす。 

しなだれかかる…ではなく体当たりするように虎娘が体を預けて来て今度は正面からもつれ合う。


互いの首筋を舐めあう侍と虎娘。 彼女の牙に急所を晒すのだから怖いと言えば怖い。 しかしそれは虎娘とて同じ

である。 ゆえに互いを信頼している証ともなる。

ふぅー…ふぅー… あの匂いがじわじわと侍を獣に変えていく。 それもよい。 何も考えず互いを貪れる。 が、今度

は溺れるわけにはいかない。

虎娘の腹側には毛皮がない。 その肌は意外なぐらい滑らかで、触れば吸い付くようだ。

胸をこすりつけると、侍の引き締まった胸に虎娘の膨らみがしっとりとまとわりつき、彼女が雌である事を彼に囁く。

一方で、逞しい腹筋は見事な形をしており、侍の腹を受け止め弾ませてくれる。

侍はわきあがる欲望に必死で逆らい、腰をすり合わせて固くなった亀頭で虎女の秘所と陰核を執拗に撫でる。

ウーウー… 戸惑うような唸り声からして、こういう交わり方は初めてなのだろう。 侍に回した腕の力が、それを気に

入っている事を示している。

侍の息も荒い。 気を抜けば、虎娘の匂いが彼を獣に変えてしまう。 それに虎娘が遠慮なく彼を抱き占め、少々息

が苦しい。

侍は虎娘の耳を甘噛みし…ようとしたが彼女の耳は頭の上についている。 仕方なく、舌で側頭部を丹念に舐めなが

ら、両手で背中を愛撫し、胸を擦りつけ、腰をゆったりと振る。

フゥー…フゥー… 虎娘の息が早くなって来た。 侍も股間のものが高ぶってきたのを感じる。 そろそろ虎娘に入れ

るだろう。

腰で小さな円を描き、亀頭で女陰を柔らかく押し広げながら、ゆっくりと虎娘に入っていく。

ウッ…ウッ… 切なげな声を上げる虎娘。 今度は様子が判っているので、無理をしなくとも入っていける。

もっとも虎娘が感じれば感じるだけあの匂いが強くなり、侍が獣の側に引きずられそうになるのだが。

ずっ…ずっ…腰を捻ってもみ込むように男根を虎娘に突き入れていく、すると肉襞が亀頭を押しとどめ、陰茎を絞り上

げようとする。

(うっ…判っていても…)目を閉じて、唇をかんで耐える。 そして、なんとか虎娘の奥底にたどり着く。

ザラザラした其処は、侍を獣にしようとするかのように亀頭や鈴口を盛んに舐めてくる。 背筋を稲妻が走るようだ。

それを堪えつつ、小さく腰を突いて、虎娘の急所を捜す。

ヒッ… 虎女が小さく鳴いて、腕に力がこもる。

(ここ…だっ!)

ズンズンズン… 見極めた急所をひたすら突く。 虎娘の匂いが濃くなり、足が腰に絡んできて…思い切り締め上げら

れた。

(!…) 骨がきしむ。 それを無視してひたすら突く。

アッアッアッ!… 虎娘の顔が薄紫に染まっていく。 表情が無い筈の顔に明らかな愉悦の色が見え始めた。

(やったぞ…) ひそかな満足感を覚える侍。 同時に虎娘から放たれる匂いが甘く変わったような気がした。

アァ… あぁ… 陶然とする二人… たとえ様のない幸福感が体を満たし、体が勝手に動く。

愛しげに互いを弄り、腰を振る。 そして…

ビュク…ビュク… 侍のモノ迸らせる精を、虎娘が受け止める。

二人は固く抱きあい、幸せな痙攣の中で互いを確かめ合った。

侍は虎娘に限りない愛しさを感じた。 (この不器用な娘と暮らしたい…獣の生き方でもかまわない…)

それは気の迷い等ではないと。 心からの望みだった。


パチン… 薪のはぜる音で侍は目を覚ました。 下に虎娘の顔。 どうやら二人とも失神していたらしい。

そっと虎娘の抱擁を解いて起き上がろうとする。 

ぐっ!? 不快な熱が肺を焼いた。

咳き込もうとしたが、それすら出来ぬほどの猛烈な痛み。 

ぐ…ばぁぁっ 激しく血を吐く侍。

彼は己が血の中でのたうちながら、意識が闇に落ち込んでいくのを感じた。

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